実家じまいの流れと費用|片付け・買取・不動産を半年で進める順番

この記事のまとめ

  • 先に決めるのは「誰の名義か」と「売る・貸す・残すのどれか」。片付けはそのあとに始める
  • 相続した不動産の登記は、相続の開始とその不動産を取得したことを知った日から3年以内。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる
  • 空き家を売る場合の3,000万円特別控除には、売る期限と建物の条件があり、相続のあと人に貸すと使えない。使えるかは税務署で確かめる
  • 家電4品目は家電リサイクル券を貼って小売店へ渡すか市区町村の案内に沿って、粗大ごみは市区町村のルールで出す。無許可の回収業者には渡さない
  • 自宅に来る買取業者には、クーリング・オフ(書面を受け取った日から8日以内)の決まりがある

実家じまいは、片付けから始めると手戻りが出ます。先に「家の名義は誰か」「売るのか、貸すのか、残すのか」を決め、そのあとで片付け、買取、不動産の順に進める流れが無理のない順番です。期限が決まっているのは、主に相続登記と空き家を売るときの税の特例の2つです。この記事では、その期限を公的な資料で確かめたうえで、半年で進める段取りの一例を示します。

費用については、公的な資料で金額が確かめられたものだけを書きます。片付け業者や不動産会社の料金は業者ごとに違うため、数字は載せず、見積もりの比べ方を書きます。

先に決める:名義と、売る・貸す・残すの方針

最初にやるのは、不動産の登記簿に誰の名前が載っているかの確認です。亡くなった親の名義のままなら、相続の手続きが先になります。親が存命で、施設への入所や住み替えで空き家になる場合は、親本人の意思確認と家族の話し合いが先です。

方針は大きく3つに分かれます。

誰がどこまで負担するかは、きょうだいの間でも意見が分かれやすい点です。片付けを始める前に、方針と費用の分け方を書き出して共有しておくと、あとで揉めにくくなります。相続人の範囲や遺産の分け方といった個別の判断は、司法書士や弁護士、自治体の無料相談などの窓口で確かめてください。

期限が決まっているもの:相続登記と空き家の税の特例

相続登記は3年以内

法務省によると、2024年(令和6年)4月1日から相続登記の申請が義務になりました。自分のために相続が始まったことを知り、かつ、その不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請します。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

項目 内容
期限 相続の開始と、その不動産を取得したことを知った日から3年以内
義務化前の相続 登記していなければ義務の対象。2027年(令和9年)3月31日まで(取得を知った日が2024年4月以降ならその日から3年以内)
遺産分割が成立したとき 成立した日から3年以内に、その内容に沿った登記を申請する
怠った場合 正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象
簡易な方法 相続人申告登記。ただし、これで果たせるのは「3年以内」の基本の義務だけで、遺産分割が成立したときの登記は別に必要
登録免許税の免税 2027年3月31日まで。不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記などが対象

(法務省、2026-11-07 確認)

相続人が非常に多い、遺言の有効性や遺産の範囲が争われているなど、正当な理由に当たる例も法務省のページに挙がっています。自分の場合が当たるかどうかは、管轄の法務局か司法書士に確かめてください。

空き家を売るときの3,000万円特別控除

親が住んでいた家を相続して売る場合、条件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。国税庁のページでは、次の点が確認できました。

項目 内容
控除額 最高3,000万円。2024年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上のときは2,000万円まで
売る期間 2016年(平成28年)4月1日から2027年(令和9年)12月31日までの譲渡
売却代金 1億円以下
建物 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたもの。区分所有建物の登記がされていないこと。相続の開始の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいないこと
相続後の使い方 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
耐震・取壊し 譲渡時に耐震基準を満たしているか、取り壊して敷地を売る。譲渡後に行う場合は、譲渡の翌年2月15日までに行う(2024年1月1日以後の譲渡)
相続からの期限 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る

(国税庁 No.3306、2026-11-07 確認)

上の表は主な条件です。親が老人ホームなどに入所していて、亡くなる直前に家に住んでいなかった場合は、一定の要件を満たせば対象になるとされ、国税庁のタックスアンサー No.3307 に説明があります。特例を使うには、市区町村が出す「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類を添えて確定申告をします。このほかにも条件があるため、使えるかどうかは国税庁のページと、最寄りの税務署や税理士で確かめてください。この記事では適用の可否は判断しません。

注意したいのは、売る期限が「相続から3年」を基準にしている点です。片付けに時間をかけすぎると、売る時期が期限に間に合わなくなることがあります。なお、家を取り壊すかどうかで、満たすべき条件と申告に添える書類が変わるため、取り壊す前に税務署に確かめてください。

半年の段取りの例

下の割り振りは、上で確かめた期限を踏まえてこの記事で組んだ一例です。決まりではないので、家の広さや人手に合わせて動かしてください。

時期 やること
1か月目 名義の確認、きょうだいでの話し合い、売る・貸す・残すの方針、登記の期限の確認
2か月目 相続登記(または相続人申告登記)の準備。貴重品・書類・思い出の品を家族で先に選ぶ
2〜4か月目 片付け。自分たちで出せる物と、業者に頼む物を分ける。買取の査定もこの間に行う
4〜5か月目 不動産会社に査定を頼み、複数社を比べる。売る場合は税の特例の条件を税務署で確かめる
5〜6か月目 売却・賃貸の契約、残った荷物の最終処分、ライフラインの停止

登記の準備を早めに置いたのは、期限が「知った日から3年」で数えられるためです。相続人申告登記で果たせるのは基本の義務だけで、遺産分割が成立したときは、その日から3年以内に分割の内容に沿った登記が別に必要になります(法務省)。

片付けで自分でできること・頼むこと

自分でできること

粗大ごみ

粗大ごみの出し方と手数料は、市区町村ごとに違います。例として横浜市のページでは、金属製品は一番長い辺が30cm以上、プラスチックや木製品は50cm以上のものが粗大ごみの対象で、インターネット、チャット、LINE、電話で申し込むとされています。自分で指定の場所へ持ち込む方法もあります。手数料は品目ごとに決まっているため、実家のある市区町村の公式ページで確かめてください。

家電4品目

エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象です。環境省によると、家電リサイクル券を貼って家電小売店に引き渡すか、市区町村が案内する方法で処分します。処分方法が分からないときは、市区町村の廃棄物・リサイクル担当に問い合わせるよう案内されています。引き渡すときには「リサイクル料金」と「収集運搬料金」がかかり、料金を払うと家電リサイクル券が発行されます。金額は引き渡す小売店や市区町村の案内で確かめます。4品目以外の小型家電は、市区町村のルールに沿って処分します。

回収業者に頼む前に確かめること

家庭から出る廃棄物の回収は、市区町村の一般廃棄物の許可を受けた業者か、市区町村から委託を受けた業者に限られます。環境省は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可だけでは家庭ごみを回収できないとしています。無許可の業者が回収した廃家電や粗大ごみが不法投棄された例や、高額な料金を請求された例も、環境省のページに挙がっています。

片付け業者の料金は、部屋数や荷物の量、階数、搬出の難しさで変わります。公的な資料に相場がないため、数字は示しません。同じ条件で2社以上から書面の見積もりを取り、何が含まれ、何が別料金かを比べます。

買取を使うとき:訪問購入の決まり

家に残っている着物、貴金属、骨董品などは、買取に出す選択肢があります。業者に自宅へ来てもらう場合は、特定商取引法の「訪問購入」に当たります。消費者庁の特定商取引法ガイドから、主な決まりを整理します。

項目 内容
勧誘 依頼していない人の自宅で、売買契約の勧誘をすることは禁止されている。査定を頼んだ場合も、査定を超えた勧誘は違反
断ったあと 契約の意思がないと示したら、その場でも後日でも勧誘を続けることは禁止されている
書面 申込みを受けたとき・契約したときに、法定の書面を渡す必要がある
クーリング・オフ 法定の書面を受け取った日から数えて8日以内。書面または電磁的記録(メールなど)で行う
物の引き渡し クーリング・オフの期間内は、物品の引き渡しを拒める

(消費者庁、2026-11-07 確認)

物品や取引によっては、規制の対象外になるものがあります。消費者庁のページでは、政令(特定商取引法施行令第34条)に挙げられた物品は訪問購入の対象から除かれるとされています。自分の品物が対象かどうかは、買取を頼む前に、お住まいの市区町村の消費生活センターに問い合わせてください。

買取に出すかどうかは、価値の見込みだけでなく、家族が納得できるかも基準にします。誰の物か、きょうだいの間で分け方が決まっていない物は、売らずに置いておきます。査定は1社で決めず、複数の業者に同じ品物を見せて比べます。査定額が低い、または値がつかない物は、処分や寄付などの方法で手放します。

不動産を売る・貸すときの進め方

片付けが進んだら、不動産会社に査定を頼みます。ここでも、数字は業者ごとに違います。査定額、仲介手数料、売却にかかる諸費用は、会社ごとの書面で確かめます。比べるときは次の点を揃えます。

売った結果、税金がかかるかどうかは、取得費や売却価格などで変わります。個別の計算は税務署か税理士に確かめてください。

次にすること

  1. 登記簿で名義を確かめ、相続の時期から数えて、登記の期限と特例の売却期限を書き出す
  2. きょうだいで、売る・貸す・残すの方針と費用の分け方を決める
  3. 貴重品と書類を家族で先に仕分けし、そのあとに片付けを始める
  4. 市区町村の公式ページで、粗大ごみと家電の出し方を確かめる
  5. 買取や片付けの業者は、2社以上から書面で見積もりを取って比べる
  6. 税の特例が使えるかは税務署、登記は法務局か司法書士、悪質な勧誘は消費生活センターへ

家の状況で必要な期間は変わります。まずは名義と期限の確認から始めてください。

出典(確かめた日)